潜在的睡眠不足のリスク

睡眠は、人間の健康維持に深く関わっています。
その事実は昔から広く知られていたのですが、最適な睡眠時間についてのはっきりとしたデータは、算出されないままになっていました。

毎日どのくらいの長さの睡眠を取れば良いかを測定すること自体が難しかったというのも原因の一つですが、人間に必要とされる睡眠時間は、一様にみな同じというわけではありません。
10時間必要な方もいれば、7時間で十分だという方もいます。

しかし、国立精神・神経医療研究センターが行った実験によると、健康な成人には平均して毎日約1時間ほど、自覚されないままの睡眠不足(潜在的睡眠不足・potential sleep debt)が存在していることが明らかになりました。
こうした睡眠不足には、特に強い眠気が起こることはありません。
そのため、自分に睡眠時間が足りていないことに気が付かないまま、長期に渡って睡眠不足が積み重なってしまうのです。

睡眠が不足すると、生活習慣病やうつ病などにかかる危険が高まってしまうことは誰もが知っている事実です。
糖代謝や細胞代謝、そしてストレスの対応などに関わっている内分泌機能が低下してしまうことがその主な原因です。
そのため、こうした自覚していない睡眠不足は、とてもリスクの高い睡眠習慣だと言えるでしょう。

この潜在的睡眠不足があるかどうかを確かめる方法としては、まずいつも寝ている部屋に遮光カーテンを引いて光を遮断し、目覚まし時計をかけずに眠ります。
そして自然に目覚め、それ以上はもう二度寝ができないという状態まで眠ります。
その時間と普段の睡眠時間との差が、潜在的睡眠不足を見積もる一つの目安と考えられています。